VJは巫女である

本来VJの役割は、DJが流す音にあった映像を、壁やスクリーンに映し出すこと。クラブシーンでは音が主役であり、VJは音に調和する映像をタイミングよく流さなければならない。つまりVJには、映像演出にサウンドとのズレを生じさせないテクニックが求められるのだ。

たとえば曲のクライマックスで、気分は最高潮。なのに映像がしんみりしていては、興ざめというものである。こうした音と映像との不協和音は、DJの世界観を破壊することにもつながってしまう。そしてDJのファンたちから怒られることにもつながりかねない。VJのプレイはDJのプレイに寄り添う必要があるのだ。

その一方でVJは、DJの世界観に入りきれなかったり、リズムやエモーションを拾いきれなかったりする人々に対して、体にリズムの入れ方を教えられるという強みもある。
たとえば、ダンスフロアでその曲へのノリ方が分からない人がいるとすれば、それは映像を通じて解決できると考えている。正しい曲の楽しみ方を教育できるのはVJの醍醐味かも知れない。
ちなみにVJに近い役割をもっとストレートに行なうのが、照明の仕事である。が、照明の詳しい話はまた別の機会に。

DJが人の気持ちの空気感をつくっているとしたら、VJは空気感を読む仕事であると思う。VJは、DJと一心同体であり、音と人とをつなぐ巫女に違いない。

土田 充康(コトバド)

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